遺品整理の進め方|手を付ける前の確認と、自分でやる手順・業者に頼む流れ

監修・編集責任

山本貴大

株式会社ローカルマーケティングパートナーズ 代表

本記事は、環境省・国民生活センター・国土交通省などの公的な一次情報にもとづいて内容を確認しています。

遺品整理は、荷物量が少なく時間と人手を確保できるなら自分でも進められます。ただし片付けを始める前に確認すべきことが2つあります。相続放棄を検討していないか、そして遺言書がないかです。

この2つを飛ばして手を付けると、後から取り返しがつかないことがあります。とくに相続放棄は、遺品を処分した時点で選べなくなる可能性があります。

この記事では、確認の順序から道具の準備、仕分け、処分の経路、業者に頼むかの判断までを整理します。始めるタイミングそのものは遺品整理はいつから始めるで扱っています。

手を付ける前に確認すること

片付けを始める前に、この順で確認する 1 借金がないか。相続放棄を検討する可能性は 検討する可能性があるなら、遺品に手を付けない。 相続財産を処分すると単純承認をしたとみなされ、 放棄できなくなる可能性がある(民法921条1号) 2 遺言書はないか 遺品の帰属が指定されていることがある。自宅の金庫・ 仏壇・貸金庫・法務局の保管制度を確認する 3 相続人の間で合意してから着手する 誰が何を残すか、費用を誰が立て替えるか。処分した後は戻せない
相続放棄を検討する可能性がある場合は、判断が固まるまで遺品に手を付けないのが安全。

借金の有無と相続放棄

故人に借金があるかどうか分からない段階で遺品を処分すると、あとで相続放棄を選べなくなることがあります。

民法921条1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定めています。単純承認とは、資産も負債もまとめて引き継ぐことです。処分にあたるかどうかは物の価値や状況によりますが、価値のある遺品を売却したり廃棄したりすれば該当する可能性があります。

ただし条文は、財産の現状を維持するための保存行為を除外しています(同号ただし書)。腐敗する食品の処理などがこれにあたると考えられていますが、線引きは個別の判断になります。迷うものは捨てずに残してください。

相続放棄と限定承認の期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です(民法915条1項)。死亡を知った日とは限らず、先順位の相続人が放棄して自分が相続人になった場合などは起算点が後ろにずれます。

期間内に借金の有無を調べきれないときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる方法があります(同項ただし書)。判断がつかないまま3か月を過ぎるより、先に申し立てを検討してください。

借金の有無が分からないうちは、遺品に手を付けないでください。判断の分かれ目や、それでも進めなければならない場合の考え方は相続放棄と遺品整理で扱っています。

遺言書の有無

遺言書に遺品の帰属が指定されていることがあります。片付けてから見つかると、すでに処分した物について取り返しがつきません。

自宅の金庫や仏壇、机の引き出し、貸金庫のほか、法務局の自筆証書遺言書保管制度に預けられている場合もあります。公正証書遺言なら公証役場で検索できます。

自宅で見つかった自筆の遺言書は、封をしたまま家庭裁判所の検認を受けます。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できません(民法1004条3項)。

一方、法務局の保管制度に預けられていた遺言書と、公正証書遺言は検認が要りません(遺言書保管法11条、民法1004条2項)。

相続放棄や遺言書の扱いで判断に迷う場合は、弁護士や司法書士に相談してください。処分してからでは戻せません。

相続人の間で合意してから着手する

確認が済んだら、着手前に相続人の間で決めておくことがあります。誰が何を残すか、費用を誰が立て替えるか、いつ精算するかです。

処分してしまった後では戻せません。一人の判断で進めると、後から「あれを捨てたのか」という話になります。遠方に住む相続人がいる場合は、写真を送って確認しながら進める方法もあります。

必要な道具と服装

確認が済んだら準備に入ります。作業中に買い足しに行くと中断するので、先に揃えておきます。

分類具体的なもの
服装汚れてよい長袖・長ズボン、厚手の軍手、マスク、必要ならゴーグル
仕分け段ボール、ガムテープ、油性ペン、付箋やラベル、ビニール袋
運搬台車、ロープ、毛布や緩衝材
掃除ほうき、掃除機、雑巾、ゴミ袋(自治体指定があればその袋)
工具ドライバー、カッター、軍手の予備

長期間空いていた家では、ほこりやカビが多くあります。ガラスや刃物が紛れていることがあるので、軍手は厚手を選んでください。

夏場の作業は熱中症の危険があります。電気が止まっていてエアコンが使えないことも多いので、飲み物と休憩を先に計画へ入れておきます。

進め方の全体

準備ができたら、次の順で進めます。

段階やること
1. 方針とスケジュールを決める賃貸か持ち家か、いつまでに終えるか、何日かけるか
2. 貴重品・重要書類を探す現金・通帳・権利書などを先に一箇所へ集める
3. 残す物と処分する物を仕分ける残す物に印をつけ、リストにして共有する
4. 処分の経路を決める自分で運ぶか、自治体収集か、許可業者に頼むか
5. 搬出・処分分別して運び出す
6. 形見分けと分配残した物を相続人の間で分ける
7. 清掃・引き渡し賃貸なら明け渡しの確認

賃貸物件の場合、明け渡しの期限が実質的な締め切りになります。退去日まで賃料が発生するため、日程を先に決めてから逆算してください。持ち家でも、相続税の申告期限や売却の予定があればそれに合わせます。

何人で、何日かかるか

計画を立てるうえで見積もりにくいのが、人手と日数です。

仕分けは1人でもできますが、家具・家電の搬出は2人以上が要ります。タンス、冷蔵庫、洗濯機、ベッドは1人では動かせません。階段のある物件ならなおさらです。

日数は荷物量で変わります。単身の1Rでも、長く住んでいれば1日では終わりません。押入れや天袋から想定外の量が出てくるのが普通です。仕分けだけで1日、搬出でもう1日、と分けて考えたほうが現実的です。

平日に動ける人が限られる場合、週末だけで進めると数週間かかります。賃貸で明け渡しの期限があるなら、残り日数から逆算して、途中で業者に切り替える判断ラインを先に決めておいてください。期限が迫ってから探すと、選ぶ余裕がなくなります。

近隣への配慮

搬出の日は物音が出ます。集合住宅ではエレベーターを長く使うことにもなります。

事前に管理会社や大家へ連絡し、必要なら養生やエレベーターの使用について確認してください。両隣と階下には、作業日を伝えておくと行き違いが減ります。

トラックの駐車場所も先に決めておきます。道路に停める場合、駐車禁止の場所なら警察署長の駐車許可が必要になることがあります(道路交通法45条1項ただし書)。クレーン付きの車両を使うなど道路で作業を伴う場合は、道路使用許可(同法77条1項)の対象です。

どちらになるかは現場によるので、事前に所轄の警察署へ相談してください。

何を先に探すか

作業を始めると物が動くので、貴重品と重要書類は最初に探します。

総務省の調査が収録した見積書の例には、作業基本料金に貴重品の捜索を含めているものがあります。ただし見積書の様式は事業者ごとにばらばらで、含まれるかどうかは一律ではありません。依頼する場合も、貴重品の扱いが作業範囲に入っているかは見積もりの段階で確認してください。

探す対象は次のとおりです。

  • 現金、預金通帳、キャッシュカード、印鑑(実印・銀行印)
  • 保険証券、有価証券、年金手帳、年金証書
  • 不動産の権利書(登記識別情報)、賃貸借契約書
  • 借入の契約書、請求書、クレジットカード
  • 遺言書、エンディングノート
  • 健康保険証、マイナンバーカード、運転免許証

見つけにくい場所があります。仏壇の引き出し、タンスの引き出しの裏、衣類のポケット、本の間、冷蔵庫、天袋、床下収納など。現金を封筒に入れて衣類に紛れさせている例もあります。

デジタル遺品

パソコンやスマートフォンには、写真や連絡先のほか、ネット銀行や証券の口座、月額サービスの契約が残っていることがあります。

総務省の調査では、デジタル遺品について「専門家と連携してデータの取出しを行っている」とする事業者もある一方、「そのまま返却する」「依頼があればハードディスク等を破壊する」と回答する事業者が多かったと報告されています。データが必要なら、自分で確認するか、対応できる事業者かを事前に聞いてください。

残す物と処分する物の分け方

仕分けは「残す」「処分する」「保留」の3つに分けると進みます。迷った物を保留に回すことで、手が止まらなくなります。

段ボールにラベルを貼り、残す物には印をつけます。相続人が複数いる場合、誰が何を残すかを作業の前に決めておくと、後から「あれを捨てたのか」という話になりにくくなります。

保留にした物は期限を決めて再度判断してください。保留のまま置くと、結局そのまま実家に残ることになります。

処分の経路は3つある

自分で遺品整理をするとき迷いやすいのが、処分の方法です。経路は3つあり、それぞれ条件が違います。

処分の経路と、許可が要るかどうか A 自分で処理施設へ運ぶ → 許可は不要 自分の家財を自分で運ぶのは「業」ではない。 持ち込みの可否・予約・料金は自治体ごとに違う B 自治体の収集に出す → 許可は不要 通常のごみは分別して収集日に出す。粗大ごみは事前の 申し込みと手数料券が要る自治体が多い C 業者に頼む → 市区町村の許可が必要 家庭から出た廃棄物を業として運ぶには一般廃棄物収集 運搬業許可が要る。産廃の許可や古物商では回収できない 家電4品目は一般ごみに出せず、専用のルートになる
廃棄物処理法が許可を求めているのは、一般廃棄物の収集運搬を業として行う場合。自分の家財を自分で運ぶのは対象外。持ち込み先は故人宅のある自治体の施設になる。

自分で処理施設へ持ち込む場合、許可は要りません。廃棄物処理法が市町村長の許可を求めているのは、一般廃棄物の収集運搬を業として行う場合だからです。

注意したいのは持ち込み先です。市町村が処理責任を負うのは「その区域内における一般廃棄物」です(廃棄物処理法6条の2第1項)。この規定を踏まえ、多くの自治体は受入れを区域内で出た廃棄物に限っています。自分が住んでいる自治体の施設に持ち込めるとは限りません。遠方から通う場合、この点で自己搬入が現実的でなくなることがあります。

持ち込みができるか、予約が要るか、料金はいくらか、誰が持ち込めるかも自治体で違うので、故人宅の自治体に事前に確認してください。

自治体の収集に出す場合、通常のごみは分別して収集日に出します。粗大ごみは事前の申し込みと手数料券の購入が必要な自治体が多く、申し込みから収集まで日数がかかることもあります。日程に余裕を見てください。

業者に頼む場合、家庭から出た廃棄物を業として運ぶには、その市区町村の一般廃棄物収集運搬業許可が要ります。依頼する事業者が自分で運ぶなら、その事業者が許可を持っている必要があります。許可業者を手配する形をとる事業者もあるので、見積もりのときに「誰が運ぶのか」「その事業者は許可を持っているか」をあわせて確認してください。国民生活センターも、一般廃棄物は市町村から委託を受けた事業者か許可を受けた事業者でなければ運搬・処分できず、産業廃棄物処理業や古物商の許可では回収できないと注意を促しています。無料回収をうたって回ってくる業者には気をつけてください。許可の確かめ方は許可を確かめる方法で扱っています。

エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は家電リサイクル法の対象で、一般ごみにも粗大ごみにも出せません。行き先が別になります。

方法は2つあります。購入した小売業者に引き取りを依頼するか、郵便局でリサイクル料金を払い込んで家電リサイクル券を受け取り、自分で指定引取場所へ持ち込むかです。購入店が分からない場合は、自治体が引取窓口を案内している地域もあるので、市区町村の窓口に相談してください。

費用は方法で変わります。事業者に運搬を頼めばリサイクル料金に加えて収集運搬料金がかかりますが、自分で指定引取場所へ運ぶ場合はリサイクル料金と郵便局の払込手数料だけで済みます。リサイクル料金は品目とメーカーで決まっており、事前に調べられます。

なお指定引取場所は、住んでいる地域にかかわらず全国どこでも利用できます。自治体の処理施設が区域内に限られるのとは扱いが違うので、遠方から通う場合はこちらのほうが運びやすいことがあります。

対象になるのは家庭用の機器です。業務用の機器は家庭で使っていても対象外になります。

形見分けと分配

残した物のうち、相続人や親しかった人に渡すものを決めます。

価値のある物(宝飾品・骨董品・美術品など)は相続財産にあたるため、勝手に分けると後の紛争になります。遺産分割の対象になるものと、そうでないものを分けて考えてください。

形見分けは急ぐ必要がありません。処分と違って、後からでもできます。

相続放棄を検討している間は、形見分けとして持ち帰ることも避けてください。価値のある物の持ち帰りが単純承認とみなされる可能性があります(民法921条1号。放棄した後に隠したり勝手に使ったりした場合も同様です=同条3号)。

自分で進めるときに起きやすいこと

作業そのものより、段取りで詰まることが多くあります。現場でよく見る5つを挙げます。

貴重品を先に探さずに始める

袋詰めを始めてから通帳が出てくると、どの袋に入れたか分からなくなります。業者に依頼する場合も、貴重品の捜索が作業範囲に入っているかは事業者ごとに違います。自分で進めるなら、なおさら最初に済ませておく工程です。

現金を封筒に入れて衣類に紛れさせている、仏壇の引き出しの奥に権利証がある、といった例は珍しくありません。袋に詰める前に、何を先に探すかの一覧を一度通してください。

一度に出せる量を超える

自治体によっては、1回に出せる量や品目数に上限があります。粗大ごみは事前の申し込みが必要な自治体が多く、申し込みから収集まで日数がかかることもあります。

家一軒分をまとめて出そうとすると、収集が何週にも分かれます。賃貸で退去期限がある場合は、この日数を先に確認しておかないと間に合いません。

家電4品目を粗大ごみに出そうとする

エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は、前述のとおり一般ごみにも粗大ごみにも出せません。収集日に出しても持っていってもらえず、置き場所に困ることになります。

親族に伝えずに処分する

処分してからでは戻せません。作業が終わってから「それは残したかった」という話が出てきます。

遠方に住む相続人がいるなら、残す物のリストを作って共有し、迷う物は写真を送って確認してから処分してください。手間に見えますが、後の行き違いを防ぐ最短の方法です。

途中で止まったまま期限が来る

前述のとおり、週末だけで進めると単身の1Rでも数週間かかります。押入れや天袋から想定外の量が出てくるのが普通です。

賃貸で明け渡しの期限があるなら、その日数見積もりを退去日から逆算し、どこまで進んでいなければ業者に切り替えるかを先に決めておいてください。

供養が必要かどうかで迷う物

仏壇、神棚、遺影、位牌、人形、写真。捨ててよいのか迷って、作業がそこで止まることがあります。

先に一つだけ、扱いが明確に違うものがあります。遺骨です。 手元供養の骨壺や、納骨していない遺骨が押入れから出てくることがあります。これらを捨てる、庭に埋めるといった扱いはできません。刑法190条は遺骨の遺棄を3年以下の拘禁刑と定めており、焼骨の埋蔵は墓地以外の区域では行えません(墓地埋葬法4条1項)。出てきた場合は、寺院や墓地の管理者、または自治体に相談してください。

供養しなければならないという法律上の決まりはありません。 宗教的な慣習であり、どうするかは遺族が決めてよい領域です。ただ、そのまま袋に入れるのは気が進まない、という気持ちのほうが実際の障害になります。

進め方は3つあります。

菩提寺や神社に相談する方法。仏壇や位牌は、処分の前に寺社へ相談するのが一般的です。呼び方も考え方も宗派で異なり、閉眼供養・魂抜き・遷仏法要などと呼ばれます。何をどの順で行うかは、付き合いのある寺社の指示に従うのが確実です。

お焚き上げを扱う事業者に頼む方法。遺品整理業者が窓口になっている場合もあります。総務省が収集した見積書の例では、作業基本料金に不用な神棚等の供養代を含めているものがありました。含まれるかどうかは事業者ごとに違うので、見積もりの段階で範囲を確認してください。

自分で処分する方法。塩で清めてから包む、白い紙に包むといった作法が言われますが、決まった手順があるわけではありません。気持ちの整理がつく形で進めてかまいません。

写真やアルバムは、量が多く判断も難しい品です。すべてを残すのは現実的でない一方、捨てると戻せません。数枚だけ選んで残す、データにして保管する、といった折衷が現実的です。

相続放棄を検討している場合も、位牌や仏壇は祭祀財産として相続財産とは別に扱われ、引き取ること自体は放棄の妨げにならないと考えられています(民法897条)。ただし金製の仏具のように財産価値の高いものが含まれる場合は線引きが難しくなります。詳しくは相続放棄と遺品整理で扱っています。

迷う物は保留の箱に入れて、期限を決めて後から判断してください。手が止まるより進みます。

自分でやるか、業者に頼むか

ここまでの作業量を踏まえて判断します。

比べる点自分でやる業者に頼む
費用作業費はかからないが、処分手数料・運搬・道具の費用はかかる作業費がかかる。買取で一部相殺されることもある
日数荷物量によっては数日から数週間1日から数日
体力家具・家電の搬出は2人以上が必要作業員が行う
向くケース荷物が少ない、近くに住んでいる、時間がある量が多い、遠方、期限が近い、特殊清掃が必要

判断の目安は、家具・家電を運び出せるかどうかです。仕分けは自分でできても、タンスや冷蔵庫を階段で下ろすのは2人がかりでも危険が伴います。無理をして怪我をすると、かえって費用がかかります。

現実的なのは、貴重品の確認と仕分けまでを自分で行い、搬出と処分を業者に頼む形です。荷物を減らしてから依頼すれば費用も下がります。

賃貸で入居者が亡くなり家財が残された場合は、そもそも誰が処分してよいのかという所有権の問題があります。この場面は残置物とはで扱っています。

業者に頼む場合の流れ

依頼すると決めたら、見積もりから精算までを順に進めます。

複数の業者から書面の見積もりを取り、作業範囲と処分費の内訳が記されているかを確認します。あわせて、廃棄物を誰が運ぶのか、その事業者が一般廃棄物収集運搬業許可を持っているかも確認してください。環境省も、家庭の廃棄物を回収するには市区町村の許可や委託が必要であり、無許可業者の利用を避けるよう呼びかけています。

見積もりに納得したら契約に進みます。国民生活センターには、その場で契約を急がされた、14万1,000円の見積もりに対して当日32万円を請求されたといった相談が寄せられています。即決を求められても一度持ち帰り、追加料金が発生する条件を事前に確認してください。

作業当日に起きること

依頼した場合、当日の流れも知っておくと立ち会いやすくなります。

作業前に、残す物と処分する物をもう一度その場で確認します。ここで指示が曖昧だと、判断が現場任せになります。残す物は事前に別の部屋へ移すか、印をつけておくのが確実です。

作業中に貴重品が出てくることがあります。どう扱うかを契約前に決めておいてください。その場で渡すのか、まとめて最後に確認するのか。決めていないと、後から「あったはずの物がない」という話になりかねません。

追加費用が発生しやすいのも当日です。エレベーターが使えない、トラックを停める場所が遠い、想定より量が多い。こうした条件は事前の見積もりで詰められるので、現地を見てもらったうえで金額を出してもらうのが確実です。

作業後は、部屋を一緒に確認します。押入れの天袋、床下収納、ベランダは見落とされやすい場所です。賃貸なら、この時点で原状回復の範囲も管理会社と確認しておくと二度手間になりません。

この確認の場は、契約上も意味を持つことがあります。総務省が収集した契約書の例には、破損などのトラブルに関する請求は依頼者と事業者が同席して確認する作業完了後の確認時に申し出ることとし、その後の請求はできない、という条項がありました。こうした条項があると、確認の場を逃した時点で申し出の機会自体を失います。

立ち会えない場合は、作業前後の写真を送ってもらう取り決めをしておいてください。

確認項目は遺品整理業者の選び方、費用の目安は遺品整理の費用相場、追加料金の防ぎ方は追加料金が出る仕組みと防ぎ方にまとめています。おおよその費用は料金シミュレーターで試算できます。

遺品整理でお困りの方へ

当社も遺品整理を提供する事業者です。仕分けまでをご自身で行い、搬出と処分だけを依頼する形にも対応しています。お見積もりでは現地で量と搬出条件を確認したうえで、作業範囲と処分の経路をご説明します。

ご相談は info@ihin-seiri-pro.jp までご連絡ください。

出典(10件)
  • 民法(明治29年法律第89号)第915条・第921条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026-08-06確認。相続の承認・放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内。相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは単純承認をしたものとみなす〔保存行為および602条に定める期間を超えない賃貸を除く〕)
  • 民法(明治29年法律第89号)第1004条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026-08-06確認。遺言書の保管者は相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求する。公正証書による遺言には適用しない〔2項〕。封印のある遺言書は家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ開封できない〔3項〕)
  • 法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律第73号)第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/430AC0000000073(2026-08-06確認。遺言書保管所に保管されている遺言書には民法1004条1項を適用しない=検認不要)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第6条の2第1項・第7条第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137(2026-08-06確認。市町村は一般廃棄物処理計画に従って「その区域内における」一般廃棄物を収集・運搬・処分しなければならない。一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は市町村長の許可を受けなければならない)
  • 道路交通法(昭和35年法律第105号)第45条第1項・第77条第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105(2026-08-06確認。駐車禁止の道路部分でも公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは駐車できる〔45条1項ただし書〕。道路において工事若しくは作業をしようとする者等は所轄警察署長の許可を受けなければならない〔77条1項1号〕)
  • 総務省 行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月)https://www.soumu.go.jp/main_content/000675388.pdf(2026-08-06確認。作業基本料金に貴重品の捜索が含まれる例、デジタル遺品の扱い〔そのまま返却・依頼があればハードディスク等を破壊が多く、専門家と連携したデータ取出しは多数派でない〕)
  • 国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」(平成30年7月19日)https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20180719_1.pdf(2026-08-06確認。一般廃棄物を運搬・処分できるのは市町村から委託を受けた事業者か許可を受けた事業者で、産業廃棄物処理業や古物商の許可では不可。廃棄物の処理ルールを市町村に確認する助言、複数社から見積もりを取る助言)
  • 環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html(2026-08-06確認。家庭から出た廃棄物の回収には市区町村の許可や委託が必要)
  • 一般財団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター「リサイクル料金」https://www.rkc.aeha.or.jp/recycle_price.html(2026-08-06確認。対象4品目、品目・メーカー別料金)
  • 同「料金郵便局振込方式」https://www.rkc.aeha.or.jp/recycleticket/post_office_transfer/(2026-08-06確認。消費者自身で指定引取場所に持って行く場合に郵便局備え付けの家電リサイクル券を利用する方式。手続きは品目・メーカーの確認、リサイクル料金の払込み〔払込手数料は別〕、指定引取場所への持込み)

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よくある質問

遺品整理は自分でできますか。
荷物量が少なく、時間と人手を確保できるなら自分でも進められます。ただし始める前に、相続放棄を検討していないか、遺言書がないかの2点を確認してください。遺品を処分する行為が民法921条1号の「相続財産の処分」にあたると、単純承認をしたものとみなされて相続放棄ができなくなる可能性があります。
遺品整理はどんな順番で進めればよいですか。
相続放棄の可能性と遺言書の有無を確認してから、貴重品と重要書類を探し、残す物と処分する物を仕分けます。そのうえで処分の経路を決め、搬出・処分、形見分けと進みます。業者に頼む場合は、複数社から書面の見積もりを取り、許可や内訳を確認したうえで契約します。
何から手を付ければよいですか。
貴重品と重要書類の確認からです。現金・通帳・印鑑・保険証券・不動産の権利書・年金手帳などは、作業を始めると他の物に紛れます。先に一箇所へ集めてから仕分けに入ってください。
自分で処分する場合、許可は必要ですか。
故人宅から出た物を相続人が自分で自治体の処理施設へ運ぶ場合、許可は要りません。廃棄物処理法が許可を求めているのは、一般廃棄物の収集運搬を業として行う場合です。ただし持ち込みの可否・予約・料金は自治体ごとに違うので、事前に確認してください。
遺品整理は自分でやるのと業者に頼むのと、どちらがよいですか。
判断の目安は、家具・家電を運び出せるかどうかです。仕分けは自分でできても、タンスや冷蔵庫を階段で下ろすのは2人がかりでも危険が伴います。現実的なのは、貴重品の確認と仕分けまでを自分で行い、搬出と処分を業者に頼む形です。荷物を減らしてから依頼すれば費用も下がります。
パソコンやスマートフォンはどう扱えばよいですか。
データを取り出したいなら、事業者に任せる前に自分で確認するか、対応できるかを事前に聞いてください。総務省の調査では、専門家と連携してデータの取出しを行っている事業者もある一方、「そのまま返却する」「依頼があればハードディスク等を破壊する」と回答する事業者が多かったと報告されています。
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